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第5話 

 離婚協議書には既にサインしてあって、早くに菅野健一に渡していた。

 この馬鹿げた結婚生活、もう一秒も耐えられない。

 でも菅野健一はなかなか離婚しない。

 私は彼に電話をかけた。

 彼の声は少し興奮していた「僕は同意しない!」

 私は冷笑した「まさか高山奈々と一生結婚しないつもり?」

 菅野健一は私がまた騒いでいると思って、不機嫌そうに言った「離婚協議書は破ったんだ。お前はもう諦めよう。奈々は病気なんだぞ!それに、僕たちはただの友達だ!」

 「協議書は郵送で送るわ。サインしないなら、弁護士に訴えさせる」

 電話の向こうで、高山奈々がかすかに「ああ、健一、胸がすごく痛いわ!」と声をあげた。

 「心配するな、今すぐ行く!」

 菅野健一は緊張し、心配そうに答えた。

 でも彼は眉をひそめて、心の中で何か重要なことを忘れているような気がした。

 彼が高山奈々にお茶を出していた時、心の中で思っていたのは私のことだった。

 突然、菅野健一が口を開いた「奈々、僕、先に行くよ。美緒に会いに行かないと」

 高山奈々は驚いた。

 「美緒?あなたは今までそんな風に彼女を呼んだことがないじゃない。健一、彼女のために私を捨てるの?」

 「今会社がこんなに困難な状態なのは、全部彼女のせいなんだって、まだわからないの?」

 菅野健一は何も言わなかった。

 「あなた、小林美緒を愛してるの?」

 菅野健一は否定しなかった。

 「ごめん、奈々。最近、やっとわかったんだ。僕は君に対して懐かしさ、未練、怒りを感じているけど、愛だけはない。」

 「僕が愛しているのは美緒だ」

 高山奈々の涙がポロポロとこぼれ落ちた。

 「それなら、私は何なの?何年もあなたが私を面倒見てくれて、共に彼女を苦しめたこと、あれは一体何だったの?」

 高山奈々は涙を浮かべながら笑った「菅野健一、知ってる?こんなふうに女性を弄んでいると、いつか報いを受けるんだよ!」

 「ごめん、奈々。最初は彼女を憎んでいたんだ。僕たちを引き裂いたからね。それで、彼女に対しては無限の冷たさと苦しみしか与えられなかった」

 「でも今、僕は彼女なしでは生きられないと気づいたんだ。彼女が離れてしまうことが怖いんだ」

 「これからも、君に助けが必要な時はいつでも力を尽くすよ!」

 そう言い終わると、菅野健
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